STM32でNUTTXを使ってみる

STM32F3 DiscoveryへのFirmware書き込み

前回、STM32F4 Discoveryへのファーム書き込みを紹介しました。
今回は、STM32F3 Discoveryへのファーム書き込みを紹介します。
F3 Discovery用には以下のディレクトリに2つのひな形が用意されています。

$ ls
              ~/nuttxspace/nuttx/boards/arm/stm32/stm32f3discovery/configs

              nsh  usbnsh

F4 DiscoveryにはUSB-OTGポートがあるので、USB経由でnshを使うことができますが、
F3 DiscoveryにはUSB-OTGポートが有りません。
そこで、F3の場合は、USB-TTL経由でnshを使うことになります。

$ cd $HOME/nuttxspace/nuttx

              $ make distclean

              $ ./tools/configure.sh -l stm32f3discovery/nsh

                Copy files

                Refreshing...

カレントディレクトリに[.config]ファイルができます。
menuconfig(=kconfig frontend)で[.config]ファイルに色々と機能を追加していきます。
今回は特に何も変更せずにそのままExitで抜けます。

$ make menuconfig

デフォルトの[.config]を使ってファームウェアをビルドします。
F3 Discoveryもボード上にST-LINKが実装されていますので、ファームの書き込みはF4 Discoveryと同様にST-LINK を使います。
ホストマシンとF3 DiscoveryをUSBで接続します。
F3 Discoveryにはオンボード上に2つのミニUSBコネクターがありますが、
ST-Link側のUSBポート(中央のミニUSB)を使います。
接続を確認したら以下のコマンドでファームウェアをターゲットマイコンに書き込みます。

$ make

              Create version.h

              LN: platform/board to
              /home/nop/nuttxspace/apps/platform/dummy

              Register: sercon

              Register: serdis

              Register: nsh

              Register: sh

              

              $ st-flash --connect-under-reset write nuttx.bin 0x8000000

              st-flash 1.7.0-352-g8c581c3

              2024-01-05T07:46:00 INFO common.c: STM32F302_F303_358: 40
              KiB SRAM, 256 KiB flash in at least 2 KiB pages.

              file nuttx.bin md5 checksum:
              651238b6937891476890fb40f3a47ea5, stlink checksum:
              0x00703365

              2024-01-05T07:46:00 INFO common_flash.c: Attempting to
              write 70496 (0x11360) bytes to stm32 address: 134217728
              (0x8000000)

              -> Flash page at 0x8011000 erased (size: 0x800)

              2024-01-05T07:46:01 INFO flash_loader.c: Starting Flash
              write for VL/F0/F3/F1_XL

              2024-01-05T07:46:01 INFO flash_loader.c: Successfully
              loaded flash loader in sram

              2024-01-05T07:46:01 INFO flash_loader.c: Clear DFSR

               35/35  pages written

              2024-01-05T07:46:04 INFO common_flash.c: Starting
              verification of write complete

              2024-01-05T07:46:05 INFO common_flash.c: Flash written and
              verified! jolly good!

USB-TTLコンバータとF3 Discoveryを以下のように接続します。
ちなみに、DiscoveryシリーズのGPIOピンは表からも裏からも使うことができます。

USB-TTL	F3 Discovery
TX	PA3
RX	PA2
GND	GND

USB-TTLコンバータをホストマシンのUSBに接続します。
dmesgで接続状況を確認することができます。
新しいUSBデバイス(/dev/ttyUSB0)が現れます。
なお、安物のUSB-HUBにST-LINKとUSB-TTLの両方を刺したら、USB-TTLを認識しませんでした。
USB-TTL側はUSB-HUBではなく、ホストマシン本体のUSBポートに直接刺しています。

$ sudo dmesg

              （略）

              [ 2885.014765] usb 1-1.4: new full-speed USB device number
              29 using dwc_otg

              [ 2885.147893] usb 1-1.4: New USB device found,
              idVendor=1a86, idProduct=7523

              [ 2885.147906] usb 1-1.4: New USB device strings: Mfr=0,
              Product=2, SerialNumber=0

              [ 2885.147915] usb 1-1.4: Product: USB2.0-Serial

              [ 2885.148809] ch341 1-1.4:1.0: ch341-uart converter
              detected

              [ 2885.150542] usb 1-1.4: ch341-uart converter now
              attached to ttyUSB0

              

              $ ls /dev/ttyUSB*

              /dev/ttyUSB0

接続を確認したらUSBポートにscreenコマンドで接続します。

$ sudo screen /dev/ttyUSB0 115200

Enterキーを何回か押すとnshコンソール画面が表示されます。
nsh、sercon、serdis、shの４つのアプリケーションが組み込まれているNuttxファームが動きます。
sercon : Connect the serial device a create /dev/ttyACM0
serdis : Disconnect the serial device.
これらのアプリの説明が「$HOME/nuttxspace/nuttx/boards/arm/stm32/stm32f3discovery /README.txt」に記載されていますが、
読んでも実行しても良く分かりませんでした。

F4 Discoveryと違って、freeやpsは組み込まれていません。

ボード上のRESETボタンではLinuxに戻れません。nshが再起動します
screenの終了はCtrl+aを押してkで以下のメニューが現れます。

続く．．．