esp_open_sdkをインストールする

esp_open_sdkはESP8266(Xtensa LX106)用のtoolchainです。
コンパイルに必要な一式が含まれています。
esp_open_sdkのインストール方法はいくつかありますので紹介します。

ESP8266 core for Arduinoに付属のPreBuildバイナリをインストールする

ESP8266 core for Arduinoでは最終的にesp_open_sdkを使ってESP8266用のバイナリを生成します。
こちらにESP8266 core for Arduinoで使われているPreBuildバイナリのインストール方法が公開されています。
「package_esp8266com_index.json」は、結構大きなファイルなので「xtensa-lx106-elf-gcc」で探すと
ダウンロードURLにたどり着きます。
圧縮ファイルをダウンロードして展開するだけで使えるようになります。
2019年1月時点で公開されているバージョンは4.8.2でした。

ESP8266_RTOS_SDKに付属のPreBuildバイナリをインストールする

ESP8266_RTOS_SDKはespressifが提供しているRTOSベースの開発環境ですが、
こちらのページの Get toolchain からPreBuildバイナリをダウンロードすることができます。
こちらも、圧縮ファイルをダウンロードして展開するだけで使えるようになります。
2019年1月時点で公開されているバージョンは5.2.0でした。

SelfBuildでインストールする

こちらに esp_open_sdkのソース一式が公開されていますが、これを使ってセルフビルドすることができます。
セルフビルドを行うためにはDebian/UbuntuかMacOSが必要になります。
今回はUbuntuをベースにしているLinux Mintを使ってセルフビルドしました。
使用した環境は以下のようなものです。

最初に以下のパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install make unrar-free
              autoconf automake libtool gcc g++ gperf \

                flex bison texinfo gawk ncurses-dev libexpat-dev
              python-dev python python-serial \

                sed git unzip bash help2man wget bzip2 libtool-bin

esp-open-sdkのビルドは一時間ぐらいかかりました。

$ git clone --recursive
              https://github.com/pfalcon/esp-open-sdk.git

              $ cd esp-open-sdk

              $ make

makeが終わると、xtensa用のtoolchainが出来上がります。
バージョンは4.8.5でした。

久しぶりにesp_open_sdkをセルフビルドしましたが、Ubuntu22.04ではビルドが通りません。
この様なエラーになります。

$ git clone --recursive
              https://github.com/pfalcon/esp-open-sdk.git

              $ cd esp-open-sdk

              $ make

              

               configure: error: missing required tool: bison

              make[1]: *** [../Makefile:149: _ct-ng] エラー 1

              make[1]: ディレクトリ '/home/nop/esp-open-sdk/crosstool-NG'
              から出ます

              make: *** [Makefile:145: crosstool-NG/ct-ng] エラー 2

エラーを回避するためのfolkが多数公開されていますが、Ubuntu22.04でビルドできるfolkが見つかりません。
以下のfolkがかなりいいところまで行きますが、cross-gdbのインストールでエラーになります。

$ git clone --recursive
              https://github.com/ChrisMacGregor/esp-open-sdk

              $ cd esp-open-sdk

              $ make

              

              [ERROR]    configure: error: failure
              running python-config --includes

              [ERROR]    gmake[4]: *** [Makefile:8725:
              configure-gdb] Error 1

              [ERROR]    gmake[3]: *** [Makefile:845:
              all] Error 2

              [ERROR]

              [ERROR]  >>

              [ERROR]  >>  Build failed in step
              'Installing cross-gdb'

              [ERROR] 
              >>        called
              in step '(top-level)'

              [ERROR]  >>

              [ERROR]  >>  Error happened in:
              CT_DoExecLog[scripts/functions@257]

              [ERROR] 
              >>        called
              from:
              do_debug_gdb_build[scripts/build/debug/300-gdb.sh@120]

              [ERROR] 
              >>        called
              from: do_debug[scripts/build/debug.sh@35]

              [ERROR] 
              >>        called
              from: main[scripts/crosstool-NG.sh@646]

              [ERROR]  >>

              [ERROR]  >>  For more info on this error,
              look at the file: 'build.log'

              [ERROR]  >>  There is a list of known
              issues, some with workarounds, in:

              [ERROR]  >>     
              'share/doc/crosstool-ng/crosstool-ng-1.22.0-60-g37b07f6f-dirty/B
              - Known issues.txt'

              [ERROR]

              [ERROR]  (elapsed: 28:25.61)

こんなところにもESP8266の終焉を感じてしまいます。
セルフビルドするためにはUbuntu18.04を使う必要が有ります。

いずれの方法でも、最後にtoolchainのパスを追加します。
ここを変えれば、色々なバージョンのtoolchainを使うことができます。

$ cd $HOME

              $ vi .profile

              

              #末尾に以下を追加

              PATH=$HOME/esp-open-sdk/xtensa-lx106-elf/bin:$PATH

              export PATH

以下の様に表示されれば、toolchainの設定は完了です。